今のサウンドとは
今のサウンドとは
ジョン・レノンの「ジョンの魂」やデヴィッド・ボウイの「ジギースターダスト」は今聞いてもまったく古くならない普遍性を持っているロック史に残る名盤です。
でも2000年代になって特に若い人が積極的にジョン・レノンやデヴィッド・ボウイを聞くかというと現実にはそうではないといわざるをえません(まあ、今の若い人は洋楽そのもを聞かなくなったらしいのですが、そのことはひとまず置いといて)。
そんな現状を憂いているわけではないのですがアクチュアリティーのあるサウンドというとナイン・インチ・ネイルズをお薦めしたいです。
必聴の「ダウンワード・スパイラル」が94年「フラジャイル」が99年なので発売は20世紀ですが、あれから15年以上これらのアルバムを凌ぐものはなかなかないですし、資本主義末期、格差社会に生きる我々の閉塞的状況、圧迫感を貫いてくれるエネルギーは今2017年でも有効かとおもわれます。
ナイン・インチ・ネイルズというとなにかゲテモノ的悪趣味、単なるヘビメタ的なサウンドという誤解のされ方もあるようですが、まさにロック王道路線、世界に対する違和感を出発点に新しい感覚、新しい認識を提示しています。
「ダウンワード・・」のラスト曲「hurt」、名曲です。あのカントリー・シンガージョニー・キャッシュがカバーしているのですが楽曲のクオリティの高さの証明かと思います。歌詞の抜粋・・・
痛みに神経を集中する
懐かしい刺すような痛み
こらえようとしていたら
すべてを思い出した
一体俺はどうしてしまったんだ
最愛の友よ
最後には皆
俺のもとを去って行ってしまう
すべてを手に入れることだってできたのに
俺の汚れた帝国で
失望させてやろう
傷つけてやろう
・・・・・・
もう一度やり直すことができるなら
百万マイル彼方まで
何とか持ちこたえて
道を探し出すのに
自傷行為とも引きこもりとも思える内容に最後の4行で後悔の反動としての能動性がうかがえるのですが、いかがでしょうか。
最後に少しだけ残ったエネルギーを振り絞ってギリギリの状態での希望の歌に。リアルを感じます。